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#25

BAUM MANAGEMENT

加藤 晴生
KATO HARUKI
Profile

1980年生まれ、白山市(旧松任市)出身。専門学校卒業後、自動車整備士、建築事務所、映像編集、宅配ドライバーなど、幅広い職種を経験。趣味はスケートボード。スケボー歴は20年にわたり、アメリカに3ヶ月滞在したことも。金沢市内の経営コンサルタント会社で5年半勤めたのち独立。2015年、経営コンサルタント会社『株式会社 BAUM MANAGEMENT(バウムマネージメント)』を開業。企業に寄り添う協働コンサルティングに力を入れ、補助金サポート、ブランディングなども手がける。

起業までのいきさつは?

高校生の時から車やバイクが好きだったので、専門学校で整備を学んで、ホンダのディーラーに就職してエンジニアとして勤めていました。腰を痛めたという理由もあったんですが、ただ機械を触っているばかりじゃ面白くないなぁと感じはじめるようになりました。フロントでお客と話すのも好きだったし、社内のイベントの企画を担当してみると、そういう仕事も面白いと感じ、整備士はもう辞めようと思ったんです。といっても、お客に頭をペコペコ下げなきゃいけないイメージがある営業の仕事は、自分には無理だと思いました。

仕事を辞めて一体何がしたいのか。今までの自分を振り返った時、高校1年の頃は建築士になりたいという夢があったことを思い出しました。そうとなれば、さっそく県内の建築事務所をあちこち当たってみて、その中で1社だけ、見習いとして採用してもらえたんです。26歳の時でした。それでも、実際に職場に入ってみると思っていたのとは違って、例えば窓のデザインひとつにも図面上でああだ、こうだと細かくこだわりを追求していくアーティスト感覚が、合理主義の自分にはどうも肌に合わなかった。ストイックになること自体は理解できても、こだわる部分が自分の思いとはかけ離れていたんです。そのうえ、給料もゼロに近く生活もできない状態なので、わずか7カ月で辞めました。

次は、とにかくお金を貯めて、何かをチャレンジする環境を整えないと、と考え、動画制作の仕事を1年半ほど手がけました。そんな折、スケボーが趣味ということもあって、知り合いから本場アメリカのプロチームのスケボーツアーに参加しないかと誘われ、こんなチャンスは滅多にないと3ヶ月間アメリカへ。スケボーを楽しみながら、あらゆる都市を巡りました。滞在中は、英語をしゃべれない自分に現地のたくさんの人が親切にしてくれ、帰国してお世話になった人たちへの感謝の気持ちが湧いてきました。その後はしばらく宅配業の仕事に携わり、お金を貯めていましたが、気付けば30歳、こんないい加減ではダメだろうと、仕事について真剣に考えるように。以前イベントで絡みのあった広告代理店で働いてみたいとも考えましたが、僕はアーティストでもデザイナーでもないですしね。他に何かないかと考えたどり着いたのが、コンサルタント業界だったんです。経営には興味のある広告やデザインの分野も関わってくるし、数字が得意だという理由もありました。すぐに会計簿記を勉強して資格を取得した後、税理士や会計のコンサルタント会社へ片っ端から履歴書を送りました。

入社できたのが前職のコンサル会社。コンサル経験や実績ではなく、人生経験や選んだ動機を重視する会社だったため採用してもらえたんです。でもその分放任主義だった。飛び込み営業に行って、お客様に「やれます」と言ったのに、自分一人ではどうすることもできずに「申し訳ありません」と言わざるを得なくなり、クレームにつながってしまったこともありました。自分がやったことのない仕事だとしても、何でもやらなきゃいけない厳しい環境だったのはしんどかったけど、今から思えば自分の大きな成長につながったと言えますね。

起業の準備などで大変だったことは?

起業を見据えて、前職の会社で5年かけてお客様に自分を売り込んできたということが、一番の準備だったかもしれません。だけどそれは、失敗によるクレームも自分にそのまま返ってくるという厳しさとも表裏一体です。もちろん、独立するからといってお客の引き抜きはNGです。それでも「絶対ついていく」と言ってくださるお客様にも恵まれ、そんな一部のお客様に関しては、会社にお伺いを立て、きちんと許可を得て引き継がせてもらうことができました。

おかげで起業時から顧客を持てたので宣伝もせず、ホームページを設けたのも開業3年目でした。というのも、前職の飛び込み営業では、8割の会社が門前払い、あとの2割が玄関先でやっと話してもらえるくらい。最初から社長室に入れてくれる先はゼロでしたから、広告を出すことなど意味がないと思いましたね。それよりも、例えば銀行や商工会といった、企業が集まるところに顔を出すようにしてきました。そこで顔見知りになると情報も集まるし、そういった方たちの紹介だと扉が開くわけです。

会社の立ち上げには資本金が必要となってきますが、自分の身一つなので最初から事務所を構えなくてもよく、店舗資金が不要なので、それほど大変なことはありませんでした。県や市の補助金制度は仕事柄しっかり把握していますが、コンサルの仕事には必要なかったので申請していません。もし別の事業を考えることがあって、タイミングが合えばとは思っています。

『BAUM MANAGEMENT』の強みは?

大手コンサル事務所だと、月に1度程度、取引先の企業を訪問して、相談を受けてアドバイスするというスタンスですし、コンサルタントのメニューが設けられているのが一般的。うちは地域密着型です。「明日来てくれない?」と言われれば、どこへでもすぐに駆けつけ、迅速に解決できるようにしています。自分が動くことは、現場を実際に見て把握できるというメリットもあります。「社内が整頓されていない」という問題点を抱えているケースでは、社員たちに伝えたところで実際にはなかなかやれないものなんです。そんな時に自分が直接出向いて一緒に掃除すると動いてもらえることがほとんど。何でもゼロから1にするというのは大変なこと。ある程度仕組みが動き出すまでは、まずは率先して自分が汚れて何かをやるということは大いに意義がある。でも、そこの社員たちからは、もしかしたら嫌がられているかもしれませんけどね(笑)。

かほく市や能美市、小松市などにある、製造業の中小企業のコンサルティングの仕事が8割を占めています。依頼内容で多いのは、会社の組織化です。会社の規模が大きくなるにともない、社員をうまく回せないという悩みに応え、社長のフォローができる幹部組織をつくり、社員を育成していきます。社内外のプロジェクトづくりも手がけます。ゴールを設定して日々どんなことをしていくかを考え、進捗をチェックし、問題点や悩みに対してアドバイスをしています。そんなふうに、取引先に出来る限り寄り添ったサービスを提供することで喜んでいただいています。

ともすれば、コンサルタント業って怪しい仕事と思われがちな職種です。それに対価を支払うとなると、コンサルタントを受け入れる壁は大きくなかなか壊せないんです。そこをお客様の口コミで崩してもらう。こういう人ならお願いしようかなと思ってもらえる、まさに人ありきの仕事ということです。

金沢で起業する魅力とは?

金沢って狭いですよね。街を歩けば、知り合いに会うし、新しい出会いがあっても誰かの知り合いだったり。いい意味で、人の距離感が近い。ビジネスや人の成長にとって人とのつながりはすごい重要なこと。金沢はモノの価値にお客様がつくのではなく、人の価値にお客様がつく感じ。だから、金沢という場所は起業するのによい土地だと思います。

他の地で起業するとしたら、やっぱり東京。でももうここでお客を抱えているので今は無理ですけどね。ただ、東京は全てのものが集まっていてスピード感が違いますから、そういう場所ならではのコンサルタント業の極意というものを、定期的に通いながら肌で感じて学びたいというのはありますね。

これから起業する人へのアドバイスを。

思ったらやれ! ということです。応援してくれる人は必ずいるし、お金はあるところにはある。声を出して行動した人には、人も金も集まると僕はつねづね言っています。そして、まずは口に出してみることから。僕は起業に向けてなかなか腰が重くて行動に移せないものだと思っていたので、前の会社で「5年経ったら辞める」とあえて宣言したんです。そんなふうに自分にプレッシャーをかける意味もあります。

なんて言っている僕ですが、実のところ僕はビビリなんです(笑)。だから働きたいと思い立っても、ゼロじゃだめだと考えて、建築事務所に飛び込む前にはCADを学びましたし、経営コンサルタント事務所の時には事前に簿記の資格も取得しました。そうやって何かしら準備をしておかないと動き出せない自分もいるんですけどね。

今後の展望は?

今の商売にかかわらず、いろんなことにチャレンジしたいんです。僕はきっと飽き性なんでしょうね。同じことをずっとやっていても、環境が変わらないと続かない。だから事業を継続するというこだわりも全くありませんし、もしかしたら5年後にはこの会社はないかもしれません。

次の新しいビジネスも考えています。これからは何人かでやり遂げる仕事もやっていきたいんですね。今は自分ひとりで経営していますが、規模を広げたり社員を雇ったりすることの不安をつねづね感じています。社員がいてくれれば事業はもっと面白くなるとは思いますが、コンサルのお客はあくまでも個人に付くものなので、うまくいくのかどうか…。それより、新しいチャレンジの方で人材を入れていきたいですね。1人より2人、3人、グループでビジネスをつくり上げてカタチにしていきたいという思いがあります。具体的な内容はここでは差し控えますが…(笑)。

でも、コンサルの事業自体は数々の仕事をしてきた中で自分に合っていると思いますね。整備士、設計など、あらゆる業界に身を置いたことで得られた知識や経験は、コンサルの仕事にも存分に活かせていますし、仕事を依頼してくださる会社や社員の方たちへも貢献できることに大きなやりがいを感じています。それに、以前渡米した時に多くの人に助けられたことの感謝の気持ちは今も忘れません。その恩返しの気持ちで、自分の仕事を通して、あるいはプライベートでも誰かを助けて、その助けられた人がまた他の人を助ける。そんな縁がずっとつながっていくといいなと思っています。

編集:きど たまよ  撮影:黒川 博司

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