はたらこう課

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2021.04/15 Report

起業家紹介vol.4 IDOL

「癖(へき)」を仕事に。

IDOL
谷口雄一

プロフィール
1986年金沢市出身。高校卒業後、東京にあるスポーツトレーナーを育成する専門学校に進学。専門学 校を卒業した後、アルバイトで資金を貯め、22歳で単身ニューヨークに渡米。27歳で帰国し、金沢のセ レクトリサイクルショップで働き始める。2019年に新竪町にて「IDOL」を開店。古物骨董品買取・販売の ほか、不用品処分相談などにものっている。

「直で観る」ことのおもしろさ

もともとスポーツ全般が好きで、高校卒業後はスポーツトレーナーを養成する専門学校に進学しました。 でも途中で、本当に将来この仕事に就くのかと考えたときに自分の中で迷う部分がありました。

そんなとき、学校で僕のことを気に掛けてくれていた若い先生が急にアメリカで働くことになったんです。 その話を聞いて、自分の中で非現実的だった海外での生活が身近に感じた瞬間でした。卒業後はアメ リカに渡ることを目標とし、アルバイトをしながら資金を貯めました。
22歳のときにニューヨークに渡りました。最初は語学学校に通うことになっていたので5年間のビザでし た。
ニューヨークはたくさんの美術館やギャラリーが密集している都市ですが、中でもメトロポリタン美術館が 最も多ジャンル多国籍の美術品を収蔵していて見応えがあったので、毎週のように通っていました。さら に入館料は寄付制でもあったので1ドルでも入館することが出来たのです。当時の僕にはすごく有り難 いことでもありましたね。ジュースを買うより安い金額で中世イタリアの絵画を見ることが出来ましたからね。

「絵」を見ることに興味が湧いてきたのは。19才の時でした。フランスのピカソ美術館で観た作品群に、 信じられないくらい圧倒されました。教科書では何度も見ていたけれど、「絵って生で観たら全然違うん だな」と肌で感じました。そういう意味では、「直に観ることの面白さ」を知ったのは海外体験で得たひとつの収穫だったのかなと思います。

自分の「好き」を見つける

ビザが切れるので、27歳のときに帰国しました。金沢に戻ってきたものの、これからの展望のようなもの はなく、その時はセザンヌが好きで、セザンヌのアトリエに置いてあるような棚とか机のような古材をなぜ か探していたんです。そんなとき友人に紹介されたリサイクルショップへ行き、気づけばそこで働く流れ になっていました。その時は自分が「店を持つ」ようになるなんて考えてもいませんでした。確かに古いも のは好きだったけれど、ひとつの職業くらいの気持ちでした。でも、買取にうかがったお宅などで見たこ と無い物を見つけたり、“良い物”を見せていただく機会が多かったのはとても刺激的で楽しかったです。 お宝探しのような気持ちというか。

何年か働いているうちに古い物の中でも自分の好きなテイストやモノが少しずつ見えてきて、それらを集 めた空間、部屋のような物を作りたいと考え始めました。
2018年の年末に前職を辞めて独立します。

「窓口」としての店

優柔不断な僕は何かを「決める」ということが苦手で、現在の場所も信頼している友人の勧めで契約しま した。「アイドル」という店名も「どういう意味なんですか?」とよく聞かれますが、人から頂いたもので特 に深い意味は無いのですが、「アイドルさん」と呼んでもらったり、覚えやすい名前という点は良かったと 思っています。
この店は、「窓口」みたいになったらいいなと思って始めました。事業内容としては、販売はもちろん骨董 品の買取や、蔵の整理、空き家相談などもしています。引越しや片付けの相談に来るお客様もいますし、そんな相談所のような場として利用して頂け るのも僕の理想です。

店に並べている商品は基本的にはパッと見たときに「いいな」と思う物を選んでいます。それは絵を観る 時の感覚に近くてうまく言語化できないのですが、自分の直感を信じて選んでいます。大きな物や重い 物も多いので、レンタルでの活用も検討しています。
こどもの頃、コーラの缶についている懸賞用シールを、ものすごい数集めていたんです。でも、それを 送って何か当てたいとかではない。なんなら一枚も送っていません。ただ「集めたかった」のです。そうい う「癖(へき)」のようなところでこの仕事をしている部分はあるのかもしれません。

2021年は店舗の一部を改装しながら新しい物も取り入れながら変化していくお店を楽しんでいきたいと 思っています。


(取材:2020年11月)

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