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2022.03/01 Report

「0→1 KANAZAWA U-18」REPORT〈DAY1〉

まだ世の中にない、新たなモノ・サービスを生み出してみよう

2022年1月9日と2月13日の2日間、金沢市野町「金沢未来のまち創造館」で金沢市内の高校生を対象とした、金沢市次世代起業家育成事業の起業イベント「0→1(ゼロイチ) KANAZAWA U-18」が行われました。当日の様子を2回に分けてレポートします。
会場は2021年夏に開館したばかりの「金沢未来のまち創造館」。旧野町小学校をリノベーションした施設で、4つのコンセプトに分かれたフロアからなります。イベントは2階の「起業のまち」フロアで行われました。
今回のテーマは「0から1を生み出し、やりたいコトで起業する方法」。現役のゼロイチ実践者のエピソードを聞き、ここで出会った仲間たちとアイディアを共有したり、共に磨いたりします。当日は金沢市内の学校に通う高校1、2年生10人が参加しました。
ファシリテーターを務めるのは、「株式会社ガクトラボ」代表取締役の仁志出憲聖さんです。仁志出さんは大学院在学中に学生団体を設立したゼロイチの実践者で、現在は学生や大学、地域をつなぐことを目的として情報配信やイベント企画、コンサルティングなど幅広く活動をしています。

冒頭、「高校生が対象のイベントは今回が初めて。みなさんは一期生にあたります。志を持つ人たちが興味を持って応募してきてくれました。ゼロイチとは0から1を生み出すこと、まだ世の中にない新たなモノ・サービスなどの価値を生み出すことです。起業するチャンスは誰にでもあります。今日はゼロイチな先輩と話す、ゼロイチなプランを作る、ゼロイチな仲間を作ることを皆さんと共に行っていきたいと思います」と挨拶しました。
まずはアイスブレイクから。集まったのは地元も高校も違う学生たちでしたが、ペアを組んで自己紹介をするうちに打ち解け、すぐに和気あいあいとした雰囲気に。
続いて一つ目のワークショップです。「今日は、みなさんが自分と向き合う会です」と仁志出さん。ゼロイチしてみたいことや趣味、ニュースなど興味があることを書き出します。高校生たちは黙々と作業に取り組み、思い浮かぶままにペンを動かしていました。
次にゼロイチの先輩から話を伺います。一人目のゲストコーチは「株式会社Linnas Design」代表取締役の松下秋裕さんです。松下さんは学生時代にエストニアの首都・タリンに1年半留学。大学卒業後、外資系不動産会社を経て、2021年、金沢市中心地にライフスタイルホテル「LINNAS Kanazawa(リンナスカナザワ)」をオープンしました。
学生時代、世界60カ国以上を旅した秋下さん。人生では「“be humble(謙虚さ)”をすごく大切にしている」と言います。「今日は3人以上に起業したいって言ってもらうのが目標です」と話すと、学生たちは目を輝かせていました。
二人目のゲストコーチは「株式会社ラブグラフ」CXO兼執行役員の吉村創一朗さんです。学生時代にはカンボジアで輸入車事業の立ち上げや、アプリ制作会社の立ち上げを経験。新卒で「LINE株式会社」に入社し、再配達アプリを開発しました。2017年に出張撮影サービスを展開する「株式会社ラブグラフ」に移籍し、現在はサービス体験の最高責任者(CXO)としてカメラマンの採用や教育など組織のマネジメントを担っている、ゼロイチの大先輩です。
お二人の話を伺った後、二つのグループに分かれて質疑応答が行われました。興味津々な様子で、次々に質問を投げかける高校生たち。「仲間を作るにはどうしたら良いでしょうか」「人とのつながりはどんなところで作れますか」といった問いに、松下さんは「バイブスが合う人と一緒に仕事がしたいと思い、とにかく色んな人と会って意見を交換しました。特に高校生は、どこにどんな縁があるか分かりません。まずは自分のコミュニティを離れて、新しいところに飛び込んでみるのが大切ではないでしょうか。僕は起業をするときに、100人くらいと会い話しをして、色んな意見をもらいました。アウトプットをするとインプットができます。何かやりたいことがあるときに、人に話してみることは大事です」と自身の経験を交えて答えていました。
こちらは吉村さんのグループです。「起業にあたって不安はありませんでしたか」との質問に、吉村さんは「起業のリスクって意外と大きくないんです。とりあえず小さいことから始めるくらいであれば、ハードルはそれほど高くない。大切なのは5年、10年先まで一緒に仕事ができる仲間を作ることです。漫画『ワンピース』のゾロとサンジみたいな、“一緒にやりたい”と思える仲間を見つけることの方が、ずっと大事だと思います」と回答。また、「お金回りが不安です。事業プランはどこまで詳細に考えておく必要があるのでしょうか」との相談には、「何か解決したい課題がある場合に、課題が小さければ起業して解決しても良いし、課題が大きくて一人で取り組むには大変というようであれば、会社に入って解決を目指すという方法もあります」とアドバイスしました。
ゲストコーチの話を聞いて十分に刺激を受けた高校生たち。後半は二つ目のワークショップとして、実際にビジネスアイディアを作ります。新たな商品やサービスを「誰のために?何を?いくらで売る?」ところまで詰めて考えます。自分と向き合い、アイディアを振り絞る高校生たち。ゲストコーチからアドバイスを受けながら、内容をブラッシュアップします。
各グループ内でビジネスアイディアを発表した後、それぞれ代表者を決めて、全体での発表が行われました。「仕事で疲れた現代人に癒しを提供したいと考え、農業や野菜、田舎の風景写真などを配信するサービスを思いつきました」とひなたさん。
「北陸でアート活動をしている高校生の作品を発表する場を作りたい」とレンさん。
みおさんは「学校の先生の負担を減らして教育の質を向上するために、部活動など教員がする必要がない仕事を外注するサービス」を発表しました。
ゲストコーチからも、ビジネスプランの発表がありました。短時間で詳細なビジネスプランを練り上げた吉村さん。考案したのは「賃貸でペットを飼いたい人のための、消臭・傷対策・防音壁紙シート」です。聞く人を引き込むプレゼンテーションに、高校生たちは釘付けになっていました。
ゲストコーチからそれぞれのビジネスアイディアに対するフィードバックとアドバイスが送られました。「まずは皆さんご苦労さまでした。ビジネスアイディアを考える際に、商品やサービスが使われるシチュエーションや利用者などをどれだけ具体的に考えられたでしょうか。価格の付け方を迷った人が多かったようですが、まずは似たサービスの価格を調べて、基準となる価格を知ることが大切。それにターゲットの懐事情を調べることも重要です」と吉村さん。その後、グループで一日を振り返り、印象に残ったことなどを語り合います。高校生たちは「小さなところから糸口を探って起業につなげたい」や「他校の学生と話す機会があまりないので、良い機会だった」と感想を述べていました。
最後にゲストコーチ二人から、高校生たちにアドバイスが贈られました。「大切なのは原体験です。スティーブ・ジョブズの“connecting dots(コネクティング ドッツ)”という有名な言葉がありますが、最初から線を引こうとするのではなく、どんどん色んな体験をして色んな“点”を打つのが大切です。皆さんはまだ高校生、やろうと思えば何でもできます。どんどん新しいことに挑戦してもらいたいと思います」と松下さん。

続いて吉村さんは「“イノベーション”と聞くと突飛なものを思い浮かべるかも知れませんが、Appleのような企業はとてもまれで、実はイノベーション的なものって往々にして地味なんです。例えば洋服のボタンもイノベーションの一つ。斬新なものである必要はないし、地味なものでいいから、まず最初のお客さんを見つけるのが大切です。『買いたい』人に会ってみる、会社まで足を運んで話を聞いてみる。とにかく行動に移してみることから始まります」とメッセージを送りました。
イベントの終わりに、仁志出さんが「面白い大人にどんどん会ってください。皆さんを全力で応援してくれる大人が周りにはたくさんいます」と心強いメッセージを送って締めくくりました。初めて会った仲間と共に知恵を出し合い、先輩方から大いに刺激され、記念撮影ではとびっきりの笑顔を見せてくれた皆さん。一日ご苦労さまでした。
編集:井上奈那

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