はたらこう課

NOTE

ノート

2021.03/04 Report

「こども起業塾 KANAZAWA」REPORT<DAY2>

「次は何をしよう」、毎日が“起業”の練習。

子ども達が若手起業家のアドバイスのもと、「自分のやってみたい仕事(=起業)」を考え、そして形にしていくことを経験するワークショップ「こども起業塾 KANAZAWA」。事業への考え方を、レクチャーやワークショップで学んだ1日目に続き、いよい各々考えてきた事業プランを発表する最終日・2日目の様子をお伝えします。
「それでは、宿題やってきた人〜!」という仁志出さんの声かけに、スッと手を挙げる子ども達。
各自の机には、前回配布された「ワークシート」が。書いたり消したりを繰り返したことが容易に想像できる、少しクタッとした様子で並んでいます。

「起業家の人たちも、寝る前やお風呂に入っているときなど、いつも“次は何しよう”って考えています。そういう意味では、起業家の気持ちを体験してもらえた2週間だったのではないでしょうか」
発表前に、各自が書いてきた事業プランに最後のブラシュアップ・タイム。先生達が机をまわりながら、子ども達がどう考えたのか、その思考のプロセスを聞きだしながら、さりげなくアドバイスしていきます。

「どうやったら『借りるよりも買ったほうが得だ』と思ってもらえるかな?」「このままでも分かるけれど、もっと伝わりやすくなる方法はあるかな」と、大人が思う“正解”を押し付けるのではなく、子供達自身が考えられるよう、優しく一人一人と向き合います。
ここで、子ども達の手元に配られたのは「いいね」の指の形をした3枚のシール。

「これは“起業シール”です。今からみんなに発表をしてもらいますが、自分がいいなと思ったお友達のプランに、あとでシールを貼ってもらいます。そこで、このシール1枚が100万円だと思ってください。起業するためにはまずお金が必要です。つまりいくらの“投資”が集められるかということも大切になってきます。みなさんには投資が集まるような、魅力的なプレゼンテーションをしていただきたい」と仁志出さん。
“投資”というわかりずらいシステムが、まるでゲームのように楽しく参画できるルールに落とし込まれています。
休憩時間を挟むも、各自自分のプランの最終確認に余念がない様子。机を回っていた先生達も「家でびっしりと書き込んできてくれて、僕らがアドバイスできることなんてないくらい」「価格帯などもしっかり市場リサーチしてくれていて、逆に見習わなきゃと思いました」と感心していました。
そしていよいよ、発表の時間です。大勢の前での、生まれて初めての「事業プレゼンテーション」が始まります。
自分のやりたいことを明確に伝え、さらにはより多くの人の「共感」を呼ぶことを目的とした、学校の授業とはまた違う挑戦にドキドキした表情の子どもたち。中には綿密にプレゼンテーションのシナリオを準備してきている子もいました。果たして、どんな事業プランが飛び出すのでしょうか。
“自然と食”をテーマにした山カフェや、金沢を初めて訪れた人が利用できるガイド機器のお店、お年寄りや怪我をした人の歩行をサポートする補助機器、誰にも言わない秘密の相談所、いつでもどこでも映画を楽しむためのVRレンタル、起業する人をサポートするコンサルティング会社…などなど。
子どもたち自身の「こんなのあったらいいな」という自由な発想や、具体的なターゲットを想定して「こういうのがあったら便利なのでは」という想いから考えられた、十三人十三様の事業プラン。価格設定/提供空間/制服などいった具体的なディテールとともに紹介されていきます。

「値段は少し高いけれど、それくらいの価値があると思ってきてくれる人に、少なくてもいいからきて欲しい。でもできれば家族で来て欲しいので、子どもは大人より安くしました」「歩きやすい道をつくるには膨大なお金がかかるけれど、サポート器具があればその問題を解決できる」など、細やかな工夫や大人顔負けの社会的ビジョンも見られます。
「山というコンセプトに沿ったメニュー構成が良いですね。くまのパンケーキは私も食べてみたい。(木谷さん)」「この機械なら、もっとお金を払ってでも使いたいと思う人がいるはず。先生なら5,000円までならは払うかな。(加藤さん)」など、それぞれのプランに対して先生達も真剣に評価とアドバイスをしていきます。
全員の発表が終わり、ホッと安堵した表情の子ども達。感想を尋ねると「緊張したけれど、自分が工夫したところなどをしっかり伝えられてよかった」「自分がやりたいと思った事業について話せたから、楽しく発表できた」という達成感や、「みんなの事業プランが、すごくいいなと思った」など、他の子の発表からも学ぶ姿勢など、様々な声が聞かれました。
子ども達同士で、「いいな」と思った事業へ投票するシール投資を経て、アドバイザーである先生達も集まって、優秀賞をきめる審議タイムに映ります。先生達も悩みに悩み、審議にはかなり時間がかかっていた様子。
そして結果発表!子ども達からの投資額が一番多かったのは600万円(6シール)を集めた「秘密の相談所」。特別賞として「みんなのためになるで賞」を受賞しました。「自分が使いたいと思うサービスに、投票が集まっていた気がしますね」と仁志出さん。

また、木谷さん、永井さん、加藤さん、Hotchkissさん、それぞれが選んだ審査員賞も授与されます。
「選ばれたということはもちろん良いことだけれど、“選ばれなかった”ということもまた価値がある」と仁志出さん。「大人でも起業コンペというものがあるのだけれど、優勝しなかった方が成功するケースが多いという話もあるくらい」と、選ばれなかった子どもたちの奮闘ぶりにエールを贈ります。山野市長からも参加者全員に一人一人「修了証書」が手渡されました。
「『自分が何が好きか』ということは、大人になっても誰も教えてくれません。だから、例え一見仕事に結びつかないようなことでも、自分の“好き”の気持ちを大事にしてほしい」と木谷さん。「起業塾は今日で終わりだけれど、これからもいろんなものに興味を持って過ごしていってください」と永井さん。「初めてのことで大変だったと思うけれど、きっと“嫌な時間”ではなかったはず。自分の“やりたい”という気持ちを大切に(加藤さん)」と、先生たちから子ども達へ授業最後のメッセージ。
そして最後に嬉しいお土産が。なんと前回子ども達が考えた手書きの「ロゴ」が、デザイナーの手によって形を少し整えてデジタル化され、さらにはバッチとショップカードになって各自に配布されました。まるで本当に実在するお店のような仕上がりに、子ども達も目を輝かせます。
すべての日程を終え、「あとはお金さえ借りられたら、事業を始められるな…」と呟いていた子もいたほど。
授業自体はたった2回だけれど、これからも毎日が「起業家」の練習。この起業塾が、こども達が「仕事」について考える一つのきっかけになれば幸いです。みなさん、2日間おつかれさまでした!


編集:柳田 和佳奈  写真:下家 康弘

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