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2021.03/04 Report

「こども起業塾 KANAZAWA」REPORT<DAY1>

「やりたいこと」で、「誰かを喜ばせる仕事」を。

こども達が若手起業家のアドバイスのもと、「自分のやってみたい仕事(=起業)」を考え、そして形にしていくことを経験するワークショップ「こども起業塾 KANAZAWA」。2020年11月7日と21日の2日間に渡り金沢市長土塀青少年交流センターにて開催されました。その様子を「DAY1」「DAY2」の2回に分けてレポートいたします。
初日、会場に集まったのは「こども起業塾」に応募してくれた、小学校5〜6年の計14名の子ども達。すこし緊張した面持ちで姿勢良く各自の机に座っています。学校も違う“はじめまして”のお友達の中で、さらには貴重な休日に、勇気を出して参加してくれたことにまず拍手です。
「起業とは、新しい仕事を起こすこと。それは『0』から『1』をつくるということです」と、開講前の挨拶で山野市長。「だからこそ、上手くいかないことある。悔しい時もあれば、無理だと笑われることもあるかもしれない。けれど、自分が『こうできたらいいな』という想いを大切にして挑戦して欲しい」という激励を、子供達は真剣な眼差しで聞き入っています。
まずは今回のこども起業塾の「先生」の自己紹介。ファシリテーターは「(株)ガクトラボ」代表の仁志出憲聖さん。仁志出さん自身、大学院から起業しており、現在は「こども起業家育成プロデューサー」も務めています。
そしてメンターを務めるのは、ドレス作家の木谷さやかさん(lecture de minuit)、建築士の永井菜緒さん(株式会社SWAY DESIGN)、コンサルタントの加藤 晴生さん(株式会社 BAUM MANAGEMENT)、そしてデザイナーのHotchkiss・久松陽一さんと、尾崎友則さん。

「“起業”というと難しいイメージがあるかもしれなけれど、基本的には『自分のやりたいこと』を仕事にするということ。だから面白い。もちろん大変なこともあるけれど、それでも自分の好きなことをやっているからしんどくないんです」と加藤さん。
先生達の自己紹介を聞いて「先生はみんな、やりたいことを仕事にしていてカッコいいと思った」「やらされているんじゃなくて、楽しそうだと思った」など、子どもたちからも様々な感想が。起業へのイメージも、少し変わってきたかな?
「そして、今紹介した先生達にはある共通点があります」と仁志出さん。
「一つは『自分のやりたいことを仕事にしているということ』。そしてもう一つは、『その仕事が誰かを喜ばせている・誰かの為になっている』ということです」

「さぁ、ここからがビジネスづくりの練習です!」。まずは頭の体操として、自分の「好きなこと」を何の制約もなくブレインストーミングしていきます。好きなことから派生していくイメージを、連想ゲームのようにひたすら自由に書き出す時間。

その「好きなこと」が「誰かのため」になれば仕事になる、と仁志出さん。「誰のために、何を売るか、これらを組み合わせると、実はビジネスになります」
いよいよ本格的にワークショップがスタート。『商品カード』と『誰かのためカード』を組み合わせながら“仕事”を考えていきます。

「“誰のために”がぼんやりしていると、あまりイメージが展開しないかもしれない」という先生のアドバイスを受け、まずは家族や友人など、身近な人の顔を思い浮かべながら、カードを組み合わせていく子ども達。
そして、1日目の後半は「誰に」「何を」を、より具体的にしていくためのデザインワークショップ。まずはそれぞれの分野の「先生」から、考えを深めていくためのヒントをレクチャーしてもらいます。

まずは“ロゴ”の先生から。「デザインって聞くと、よくわからないかもしれないけれど、簡単に言うと“良くする”ということ」と、専門用語ではなく平易な言葉で子ども達に説明をするHotchiss・久松さん。ロゴをつくるワークショップでは「ロゴだからとあまり難しく考えず、分かりやすくて伝わりやすい、お店の“看板”だと思って考えてみてください」。

「布一枚敷くだけでも、実は“お店”になるんです」とは、“建物”の先生・永井さん。
「モノを売るのかサービスを売るのか。屋内なのか屋外なのか、はたまた移動販売車のような仮設店舗なのか」など、何を・どこで売るのか、そしてお客さんにはどんなイメージを空間から感じ取ってもらいたいか、などを逆算して空間デザインに落とし込んでいく練習をします。
そして“服装”の先生は木谷さん。「例えば同じ『カフェ』でも、コックコートやデニム、ネクタイなど、制服で印象が全く変わります」と、実際の事例とともに紹介。
「スーツはきちんとして見えるので安心感や信頼感があるし、コックコートは清潔感がありますよね」。
制服にはどんな機能が必要か、そしてどんな印象を与えたいか、子ども達も自分の事業に合うユニフォームを考えていきます。
そして1日目最後の授業は「お金」。「みんなが今日考えてくれたアイディアも、“お金”をもらって初めて“仕事”になります」と加藤さん。実際に、自分の「商品」の値段を具体的に考える練習をしてみます。「同じ“水”でも値段はバラバラですよね。値段に正解はないので、自分が『これで行く』と決めることが大切です」。
「自分ならいくらで買う?/友達はいくらで買ってくれそう?」「誰に/どこで売る?」「同じようなものはいくらで売られているかな」と値段設定のための検証材料をさりげなく子供達に提供していきます。
あっと言う前に正午前。1日目の授業も終了です。午前中の2時間半足らずで、ギュギュッと濃ゆいレクチャーとワークショップを受けた子ども達。「それでは、今日書ききれなかった人は、ぜひお家に帰っても考えてみてくださいね。家族や友達に意見を聞いてみたりするのも良いかもしれない。次回までの時間も学びの時間としてもらえたら」と仁志出さん。

初日の授業を終えて「大人よりも手が早い!」と先生達も感心しきり。
「私たち大人のように、考え込んでしまって手が止まるということがない。手を動かしだすと止まらないというか、子ども達は作りながら考えていくから、きっと速いんでしょうね」と永井さん。
「自分のやりたいことだけじゃなくて、“誰かのために”という気持ちがみんな強かったのが印象的で。僕らが教えるまでもなく、それは自然と子どもたちの中にあるものだったんですよね」と仁志出さん。

次回2日目はいよいよ事業プランの発表。どんな提案が聞けるのか、期待が高まります。忙しい1日目を終えて、記念写真をパチリ。まずは1日目、おつかれさまでした!
≫≫「DAY2」に続く 
                        

編集:柳田 和佳奈  写真:下家 康弘

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