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2023.02/18 Report

「こども起業塾 KANAZAWA 2022」REPORT

「こども起業塾 KANAZAWA 2022」REPORT

2022年12月26日、「金沢未来のまち創造館」で金沢市内の小学校5、6年生を対象とした起業イベント「こども起業塾 KANAZAWA 2022」が行われました。テーマは「起業アイディアを生み、アートの力で発想をひろげよう」。参加した17人の子どもたちは、ゲストの若手起業家やアーティストからヒントを得ながら自由な発想で事業アイディアを考えたほか、言葉ではなく形でイメージを表現するワークショップにも挑戦しました。当日の様子をレポートします。
会場となったのは、「好奇心のまち」と名付けられた3階フロア。冒頭、ファシリテーターを務める「株式会社ガクトラボ」ユースコーディネーターの高山大生(たかやま たいき)さんが「今日は自分が起業家になった気分で、思いっきり創作してください。わくわくしたり表現したいと思ったりしたことに、どんどん挑戦してみましょう。みんなの表現性が爆発するような場にしたいと思います」と挨拶。

続いて金沢市副市長・山田啓之(やまだ ひろゆき)さんが「みなさんがいるこの場所は『好奇心のまち』です。大人たちに教わりながら、楽しみながら起業する力や想像力を養ってください。将来、金沢を担うリーダーとなってくれることを期待しています」とエールを送りました。
続いて、ゲストにお話しを伺います。一人目は、陶芸家の今西泰赳(いまにし ひろたけ)さんです。今西さんは大学時代、生命環境科学研究科でがんの研究に取り組んでいましたが、2013年から焼き物を学び、石川県立九谷焼技術研修所を経て、現在は個人作家として活躍するユニークな経歴の持ち主です。
陶芸では長年研究していた生命現象をもとに、生命の力を表現。細胞をイメージした絵付けが特徴です。制作する上では、「自己表現の作品」と「商品としての作品」という二つの軸を持ち、受け手が良いと思うものや使い手に届けたいものを作る一方で、「世の中には受け入れられなくても自分は良いと思うものにも挑戦することが大切」と言い、「物事はさまざまな側面から考えることができます。自由に色々とアイディアを出してみてください」とアドバイスしました。
二人目は、「株式会社ガクトラボ」代表取締役の仁志出憲聖(にしで けんせい)さんです。仁志出さんは大学院在学中に学生団体を設立したゼロイチの実践者で、現在は地域が学生や若者の挑戦で溢れることを目指して、学生や若者と、企業、地域をつなぐイベントの企画、コンサルティング、キャリア・起業家教育など幅広く活動をしています。

「僕は学生の頃、地域に対して愛を持って活動している大人たちに出会い、感銘を受けて起業しました。そして地域がもっとこうであったらいいのになとか、企業や地元の若い人、大学生がこうなったらいいのにな、世の中がこうなったらもっと良くなるんじゃないかということを考えながら過ごしていました。今日はみなさんにもより世の中を良くするプランを考えてみていただきたいと思います」と話しました。
先輩たちの話を聞いたあとは、一つ目のワークショップに移ります。まずは頭の体操です。「興味のあるものを書き出そう」というお題に、参加した子どもたちは黙々と手を動かし、どんどんと付せんで机を埋め尽くしていきました。
次に「起業した自分と事業を表現しよう」というテーマに取り組みます。まずは「誰のために・どんなことを・どんな事業名で」行うか、さまざまなアイディアを出した後、その中から取り組んでみたいものを一つ選びます。

続いて、言葉ではなく形で表現するために、色やかたち、状態などを具体的に考えていきます。「起業した自分にはどんな言葉が似合うかな?」「起業した自分に色をつけるとしたら、どんな色かな?」ゲストや大学生サポーターからアドバイスを受けながら、イメージを膨らませていきました。
それでは準備が整ったところで、表現にチャレンジしましょう。ルールは「自分のことは『ひと』以外で表現する」こと。ボタンや紙粘土、毛糸、ストロー、ビー玉など様々な材料を使い、かたちで「起業した自分と事業」を表現していきます。
素材選びに迷ったり、なかなか思う通りの形ができずに苦労したりしながらも、みんな夢中になって作品づくりに励みました。「優雅な起業家になりたい」と自分自身を空飛ぶ鳥で表現したり、「優しい起業家でありたい」と花で表現したりと、思い思いの形で表現をした子どもたち。また、金沢の和菓子の文化を世界に発信するための事業や、雷の自然エネルギーで発電する事業のアイディアも飛び出し、大人たちを驚かせました。
作品が完成したところで、それぞれの事業や作品で工夫したことを発表します。みなさん緊張しながらも自分の言葉で一生懸命説明していました。子どもたち同士で「どうしてその色を使ったの?」とか「なぜその形で表現しようと思ったの?」といった質問や意見が交わされるシーンもあり、熱心な様子が伝わってきました。
最後に表彰式を行います。審査員賞と参加者が選んだオーディエンス賞を発表。審査員賞(仁志出賞)を細川蒼介(ほそかわ そうすけ)さん、審査員賞(今西賞)を佐伯彩名(さえき あやな)さん、オーディエンス賞を石丸紘崇(いしまる ひろたか)さんが受賞しました。

イベントの締めくくりに、高山さんが「僕たちの想像を遥かに超える素晴らしい事業アイディアや作品が完成して感動しました。この場で表現したイメージを持ち、いつかみんなが起業をして作品を見ながら、今日のことを振り返り懐かしく思ってくれると嬉しいです」と挨拶。修了証を手渡された子どもたちは誇らしげな笑顔を見せてくれました。
(編集:井上奈那)

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