はたらこう課

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ノート

2019.11/07 Report

はたらこう課座談会 vol.1

フリーランスの人が欲しい“場”って?起業家たちのリアルボイス

今年で4年目を迎える「はたらこう課」。これまでに、WEBサイト上でのリレー形式の起業家紹介や、起業家を招いたトークイベント・ワークショップの開催、起業家へのインターンの実施など、様々な視点や角度から起業を促してきました。

この3年間の活動を通して出会った起業家のみなさん。そのリアルな声や、実体験が伴ったノウハウなどのデーターベースは、「はたらこう課」にとってかけがえのない財産となりました。

“知る・学ぶ”のタームを経て、「はたらこう課」が次に目指すのは、実際の“場づくり”。これには旧野町小学校校舎に整備する「価値創造拠点」プロジェクトとも連動しています。起業家やフリーランスの人にとって、どんな場所やコンテンツが求められているのか。
まずは実際に起業家の声を聞いてみよう!ということで、これまでお世話になった起業家の方を招いて「はたらこう課座談会」を開くことに。今回は2019年7月にITビジネスプラザ武蔵で開催された第一回座談会の様子をレポートします。

既存のコミュニティにアクセスするためのプラットフォームを。

第一回は、「はたらこう課」記事でもご紹介している岩本守雅さん、辻野実さん、仁志出憲聖さんの3名の起業家を招き、価値創造拠点プロジェクトを担当する金沢市産業政策課のお2人、そして「はたらこう課」運営メンバーで開催しました。
岩本さん:「起業するってことは、すでにあるコミュニティの中に入っていくということ。排他される側の存在から、既存のコミュニティにどう入り込むか、それがとても重要。
県外出身の僕から見ると、金沢ってすでにコミュニティが出来上がっている印象。“この仕事ならあの人”みたいな定石がもう決まっちゃっている。金沢で仕事がしたいなら、その輪の中に自分がどう入っていくかを一番に考えないといけないと思います。だからこそ、もし金沢に、起業家同士が交流できる場ができるのであれば、ぜひ使ってみたいですね」
はたらこう課(久松):「岩本さんがおっしゃったみたいに、既存のコミュニティの中だけで仕事が回っていて、新規で始めた人がコミットしづらいという状況は好ましくない。その辺を少しずつ広げていくのもはたらこう課の役目だと思っています。いろんな人にチャンスがある、という状態でないと新しいことは生まれない。場づくりを考えることはよいきっかけだと思う」
辻野さん:「結局、起業しても、そこから仕事を取っていくのが一番ハードルが高いんですよね。僕はウェブデザインをやっていますが、この業界は慢性的に人不足。なのに、ウェブデザイナーは星の数ほどいる。つまり企業が“求めるスキル”と、デザイナーが“持っているスキル”のマッチングがうまくいってない状態なんですよね。飲み友達から仕事もらったり、僕も起業したての頃は苦労しました。いまだに結構泥臭いんですよ、僕らの仕事の取り方って(笑)」
辻野さん:「これからはデザイナーとかエンジニアって、どんどんフリーランスになっていく時代だと思う。そして案件ごとにチームを組むスタイルになるのではないでしょうか。そうなったときに、個人がポートフォリォをもって企業にアピールしに行くというよりも、拠点があるところに何かマッチングのソフトがあるといいですよね。加えて、“金沢市”という一段階フィルターを通したマッチングであれば、県外企業もアプローチしやすくなるのでは」

岩本さん:僕もこれからは“個人事業主の集合体”が一番強いと思っている。なぜなら“明日食う飯をどうするか”という、プロジェクトに対する姿勢や本気度は、個人事業主の方が切実なものがあると思うから。どうやって個人事業主同士が出会うか、見つけ合えるか。そういう場所になれば僕自身活用すると思うし、街自体楽しくなると思う」
はたらこう課(久松):「はたらこう課のサイトでは、リアルな声を記述することを大切にしてきましたが、確かに実際の仕事依頼に結びつく情報は少ない。例えば“WEB”とか“ブランディング”とか、業種のタグ付けをしたり、しっかり検索できるようになっているといい。そういった形でこれまでのデータベースを整えていくことも大切かもしれません」

子供達、大学生… “これからの人”が行き交う場に
仁志出さん:「面白い大人がいるところに、子供達が自由に遊びにこれる、という場があるとすごくいいなと思う。今は経済を考える上でも、子供の教育から見てあげる時代。その視点は、もう一本の軸くらいに考えていいのでは。それに、最近の起業家やフリーランスの人って、子供連れて行けるオフィスを探してる人も多いので、ニーズもありますよね」

青木さん:「価値創造拠点も、小さい子から駆け出しの方まで、できるだけ若い人に来てもらえる施設にしたいと思っています。大学の取り組みとも並行して、学生には街へ戻ってきてほしい。
私自身は能登出身ですが、なぜ金沢で働くことにしたかというと、“金沢だったら能登のダムになれるんじゃないか”と思ったからなんです。今若い人がどんどん都会に流失しています。金沢がダムの役目を果たすことで、若い人たちを守れたら」
仁志出さん:「僕の場合ですが、実際に駆け出しの後輩達にどんどん仕事を回して、互いにウィンウィンでやってる部分もあるんですよね。起業家が集まって活性化している都市って、“先輩・後輩”的つながりで上手く情報を投げ合えているなと感じる。そういう構造がいろんなところで頻発して、互いにやりとりがあるのが、ほんとの起業家のエコシステムなんじゃないでしょうか」

岩本さん:「そういう場所あったらお願いしたい仕事は沢山ありますね。今はご近所パートナーシップみたいなのでなんとかやってますが。“イケてる公民館”みたいなんいっぱいあったらいいなと思う」
辻野さん:「しかも、その施設に入居してる人だけではなく、もっと輪を広げていけるといいですよね。大阪とか東京って、フリーの人の集まりがすごくたくさんあって。業界特化の飲み会も多くて、そこで知り合うことも多いんです。金沢では少ないので、そんな場ができればすごくいいなと思う」

はたらこう課(久松):「確かに“いつものメンバー”で終わっちゃうのは面白くないですよね。そういう流れをつくるための何か仕組みを考えないといけない」

「ここに行けばあの人に会える」、キーマンは何より重要。

仁志出さん:「キーマンが何人もその場所にいる、ということが、場づくりを考える上で一番重要だと思います。さらに、若手から重鎮まで、キーマンの世代もバラつかせたほうがいい。例えば若手ではアクセスできないゾーンってやっぱりあるわけで」
仁志出さん:「僕らの世代でガーッと仕事してる人って、本当に週一回くらいのペースで東京に行っている。それは仕事があって、ということもあるけれど、本当のところは情報とか人に会うために行っているんですよね。それがわざわざ東京に行かなくても “金沢でできる”という状況になったらいいですよね。
僕も東京に行くと起業家が集まるスペースに顔を出すようにしています。“金沢に行ったらあそこに行っといた方がいい”とか“あそこ行けば〇〇さんがいるんじゃないか”みたな場があるといいですよね。普通のインキュベーションスペースというか、それなりの施設がそろっているだけのところには、正直もう行かないですね」

岩本さん:「外に出て広く情報とってくる人と、地域に深く入っていく人。両方のタイプがいると良いですよね。互いに意見交換ができる場があれば。
クリエイターというけれど、“ものをつくる”という意味では、職人系の仕事も十分にクリエイティブだといえると思う。近頃はじーっと耐える仕事ができん人が多いというか。小学生とか見ていても“人生楽勝”だと思ってるというか(笑)」

その後も議論は続き、「正直、駐車場台数が最終的にものをいう」「公共施設はWi-Fiが微妙すぎる。そこだけはしっかり!」「ミルクあげられるとことか、キッズルームみたいなのがあると良いかも」などなど、極めて現実的、かつリアルなご意見が次々と出てきました。
中でも「フリーランスの人ってめちゃめちゃ忙しい。ただ設備が揃っているだけじゃ正直足が向かない」という声には考えさせられるものがありました。設備や快適性だけじゃない、起業家が求める“価値”とは何だろう。
「第一回はたらこう課座談会」はこれにて終了ですが、今後も定期開催していく中で、起業家に求められる“場”の姿を考え続けていきたいと思います。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
座談会後の飲み会でもまだまだ話は盛り上がりました!

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