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2018.12/05 Report

「金沢ではたらくオープンミーティング」レポート

金沢市起業支援・はたらこう課 PRESENTS
「金沢ではたらくオープンミーティング」レポート

はたらこう課では、これから金沢で起業したいと考えている方、または起業に関心のある方のために、金沢で起業した方のもとにインターンシップできるプログラムをスタートしました。現在参加者を募集しています。

そこでインターンシップを申し込む前に、はたらこう課のWebサイトでリレーインタビューにもお答えいただいている起業家たちと起業についてざっくばらんに語り合ってもらう場として、2018年10月31日(水)に「金沢ではたらく オープンミーティング」を開催しました。

参加していただいた先輩起業家は4名。
起業7年目の継手意匠店・岩本守雅(いわもともりまさ)さん。金沢工業大学工学部建築学科を卒業し、現在は建築設計を軸にライフスタイルや商売の基盤になる空間からその周辺のデザインまでを手がけています。

一番大切にしているのは、人と人との関わり。屋号には「継手のように、物事のジョイントとなり、様々な関係性を生み出していきたい」との思いが込められています。町の便利屋さんのように親しみやすい岩本さんのもとには、近所のお宅の電球を替えるという依頼が舞い込むことも。

決して大きくはない金沢という町で、深く関わり合っているからこそ聞こえる小さな悩みを一つ一つ解決していくことで、更に関係が深まっていく。仕事の枠にとらわれず、お客さんとの会話を通してベストな答えを導き出していくのだといいます。

プライベートでは白山や立山など近隣へ登山に行くことが趣味。自然の中で普段気づかないことに気づいたり、リフレッシュしたりできる環境も金沢の魅力のようです。

▶︎ 岩本守雅(インタビューページ)
ウェディングドレスのオーダー製作とレンタルを行うレクテュール・ドゥ・ミニュイの木谷さやか(きだにさやか)さん。オーダーメイドのドレスデザイナーで、一つ一つご自身で制作されています。

一度上京を経て金沢に戻り、現在はスタイリストの知人たちとオフィスをシェアしながら活動中。金沢というコンパクトな町が人との繋がりを生み、起業間もないころから知人の紹介が続いたことで、7年もの間やってこられたのだといいます。最近ではインスタグラムも活用しながら、金沢からオーダーメイドのウェディングドレスの魅力を発信しています。

言ってしまえば、金沢でも決して多いとは言えない職業。環境を整えるだけでも大変なことですが、幼い頃から長く暮らしてきた町だからこそ、自分の培ってきた技術を生かしながら自分らしく働くことができると教えてくれました。

▶︎ 木谷さやか(インタビューページ)
雪花(secca)の上町達也(うえまちたつや)さんは最先端のデジタル技術と工芸のアナログ技術を組み合わせたプロダクトを数多く手がけています。金沢美術工芸大学製品デザイン専攻後、2013年に同窓の柳井友一さんと共同で会社を設立。体験を通して価値を感じてもらうことを理念に、プロダクトを使った体験までを提案しています。

上町さんの出身は岐阜県。金沢を拠点にすることに決めた理由は、一度東京での就職を経験し、情報量や人との間といった環境の面でも心地よさを感じたからだそう。加えて美味しい食が暮らしを豊かにし、ものづくりにもいきてくるそうです。

自身のやりたいこととの相性として、日本でも有数の工芸が集まっている点にも魅力を感じた金沢。生産者と近い距離で話しながら仕事をすることで、よりクオリティの高いものが生まれるのです。

▶︎ 雪花(インタビューページ)
実は、会場となったPLAT HOMEで使われているうつわの一部も雪花が手がけたもの。
うつわだけを作るのではなく、食体験も通じてその価値を知ってもらう。それぞれのプロダクトは、使われるその先までデザインされています。

特徴的なうつわのフォルムを生かしながら、冬の金沢に舞う粉雪のように、はらりと散らされた塩。うつわと料理が共鳴し、美しさと美味しさが一層引き立っていました。
そしてガクトラボの仁志出憲聖(にしでけんせい)さん。8年前に起業して、学生と地域を結びつけるなどの人事コンサルを行なっています。

もともと金沢出身で、金沢大学大学院機械科学専攻の在学中に活動を始め、就職せずにそのまま起業した仁志出さん。地元で育ったからこそ見えた金沢の課題に、学生と地域を結びつける必要性を感じ、自分にしかできない仕事を作ることに。

今は小中高生向けのスクール事業の立ち上げに向けても準備を進めているそう。在学中の起業や学習についての事業展望など、自身の経験を語ってくれました。

▶︎ 仁志出憲聖(インタビューページ)
一方の参加者も熱い方ばかり。

まずは石川工業高等専門学校の建築学科に所属する蓮野拓実さん。石川高専といえば実習も多く即戦力となることから、県内でも有数の就職率を誇ります。しかし、専門性の高い学校へ進み、自分の興味のあることを学んでいるなかで、本当にそれだけでいいのかと疑問を持ち始めたのだそう。

2018年の夏に岩本さんのもとで1週間のインターンシップを行い、仕事の枠にとらわれず「クリエイトする」という方向性を大切に、自由な仕事を考えていきたいと強い意志を語ってくれました。
野村芽里さんは書道教室で子どもたちを教える講師。海外の方に書道を通して日本の心を知ってもらうべく、技術を磨きながら外に発信するための活動準備を進めています。

自分の目的や技術をどうやって仕事という形にしていくのか、そのヒントを見つけるために参加してくれました。
金沢大学の現役学生であり、ユーチューバーとしても活躍するしゅんダイアリーこと福田駿さん。自身の経験を生かした就活・企業紹介動画が人気となっています。

クラウドファンディングを通し、実績の少ないうちから仕事や支援を作っていくことの難しさを知ったと打ち明けてくれました。それに対し、仁志出さんと上町さんからはこんな意見が。

「僕の大学の同期でそのまま起業した人はいないんですよ。そういう意味では、いろんな人に目をかけてもらえたのでラッキーだったというか。

20代のうちは期待で仕事を振ってもらえることがあるけど、30代を超えてくると実績が必要になるような気がしていて。そこで起業している方が多いから、実績で起業しているなと。僕は期待で起業したので、ある意味楽だったかもしれませんね」(仁志出)

「僕にはメンターがいて、そのメンターの師匠が仕事をくれて、僕の未来に投資してくれたおかげで今があるんです。その人たちへの一番のリターンは自分の成長だと思っていて。

頼り続けるのが嫌だなとか、早く精神的にも自立したいと思うことはよくあったけど、応援してくれている人がいるなら、その人に意見を求め続ければいいんだと最近は思います。リターンじゃなくて、自分にしかできないことはなんだろうと真剣に考えることが、結果恩返しになっていくんじゃないかな」(上町)

「独立」を意識しすぎず、周りの大人に頼りながらやっていくというのは起業した人だからこそ気づいたポイント。がむしゃらに頑張ることも大事ですが、ふと周りを見渡してみて応援してくれる人がいるのなら、耳を傾けたり頼ったりしてみてもいい。その人たちはなにかの見返りを求めているわけではなく、自分の成長こそが何よりの恩返しになるのだと、自らの体験を語ってくれました。
会場であるPLAT HOMEの店主、岡川透(おかがわとおる)さんも、起業家の一人。営業の合間に顔を出してくれました。

いくつかの金沢の和食店で修行を積み、30歳でオープンした「PLAT HOME」ではカジュアルに和食を楽しんでもらいたいという思いから割烹着を脱いでエプロンに。口コミが広がり、今では海外からのお客さんも後を絶ちません。

偶然にも岩本さん、上町さんの起業も30歳。20歳で社会人となってから次の節目であり、岡川さんも「借金しても2、3年で返して次のことが始められる」と語るように、失敗も次への糧となるタイミングなのだそうです。まずはやってみよう、とアクションしてみることが大切なようです。

▶︎ 岡川透(インタビューページ)
そんな熱い起業話と美味しい料理でおおいに盛り上がったオープンミーティングでした。

イベントを通して先輩起業家の4人に共通していたのは、金沢の環境が自分にとって「ちょうどいい」と感じていること。もともと金沢に生まれ育ったり、学生時代を過ごしたりと観光地の印象が強い金沢に一歩踏み込んだことで見えた自分と金沢のフィット感に、自分らしいはたらき方を見つけたようでした。

自分のやりたいことがしっかり見えている参加者にとって、先輩起業家それぞれが語ってくれた「金沢ではたらくこと」はどう見えたのでしょう。今回のオープンミーティングやこのレポートが自分らしくはたらきたいみなさんの参考になれば幸いです。
第一弾のインターンシップは、今回話をしてくれたPLAT HOMEの岡川さん、継手意匠店の岩本さんのもとで約1週間のインターンをすることができます。

未経験者も大歓迎。インターンを通して金沢ではたらくことのイメージを少しでも持っていただけたら嬉しいです。応募お待ちしております。

▶︎はたらこう課INTERNSHIP 募集ページ[2次募集締切12/15日まで]

編集:山田 友佳里  撮影:黒川 博司

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